まさに秋だね。


「俺のターン!」
ドローカードの確認。融合解除。
(あいつのデッキは残り少ない…このまま何もしなければあいつがエクゾディアをそろえて俺の負け。
 だが、あいつが伏せたあのカード。さっきドローしたホーリーライフバリアー…
 手札1枚をコストにこっちからのダメージ全部無効にする罠…
 ここでリミッター解除は得策じゃない…ならば)
「カードを1枚セットし、リバースカードオープン!ゲットライド!
 墓地の強化支援メカ・ヘビーウェポンをサイバーエンドに装備!
 ダイレクトアタック!」
(あいつは手札コストとしてヴォルカニックバレットを手札に残している、発動は可能だ!
 さあ、どう出る!?)
「…っ僕のライフは残り50っ」
(まともにうけた…!どういうつもりだ!?)
「…ターンエンド!」
「僕のターンっ、ドローっ」
(クリッター…か)
クリッター。フィールドから離れたとき攻撃力1500以下のモンスターを手札に加えるモンスター。
エクゾディアパーツ全てをサーチでき、またリクルーターたちも呼べるため、
このデッキではかなり重要な役割を担っている。
(…リバースカードはリミッター解除と、もう1つ、か…
 さっき、もしアーマードサイバーンを装備していれば、効果でサイバーエンドの攻撃力を1000下げて、
 ホーリーライフバリアーを残さずにすんだ…そうすれば、サイバーエンドの貫通効果で、
 クリッターの効果発動前にダメージが通った…そこでリミッター解除を使えば、僕のライフは0…
 仮にクリッターでなくても、守備力10000を越えるモンスターなんて…
 それこそ君のキメラテックオーバードラゴンぐらいしか出来ないと思うよ…?
 このプレイミスは、痛いよ…っ?)
(…次に攻撃すれば間違いなく使ってくる。だがおそらく引いたのはモンスター…
 それも破壊されるのが前提の効果を持つ…だが、ホーリーライフバリアーを使えば戦闘破壊もされなくなる…
 …そのくらいわかってるはず…ならば守った後、生贄に?…いや、生贄1体でこの状況をどうにかできるはず…
 …いやまてよ、フィールドを離れたときに強制発動するならどうだ?それなら守る意味はある…
 それに生贄召喚に成功したときに発動する効果もある、油断するな…幸い、融合解除をセットしてるから、
 対象指定系の除去は何とかなる…ん?ちょっと待て…?フィールドから離れたときにサーチ効果を発動する…
 しかもそれが強制発動なら生贄でも問題ない…いるじゃないか、そんな便利で、あのデッキと相性のいい、
 モンスター…クリッターが!)
互いの腹を読みあう2人。かたや勝利を確信し、かたや相手の引いたカードを読み当てる。
「僕はモンスターをセット。ターンエンド」
「俺のターン、ドロー!このターンをしのいで、はい勝ち決定、なんてうまくいくと思うなよ?
 抹殺の使徒、発動!」
なんどもいうが、ここで引き当てるから面白いのだ。
「…!僕のモンスターはクリッター…除外されちゃ効果は使えない。
 だけど、次のターンでエクゾディアを引き当てるかもよ?」
「ほざけ。ここまで嫌われてながら大口たたくな」
そう、残りデッキ枚数がここまで減っているにもかかわらず、封印されしエクゾディアは
いまだデッキに眠ったままなのである。
「…そうだね。でも、ひょっとしたらツンデレなのかも。
 『簡単には勝たせてあげないんだから!』ってね」
「はっはっは!そいつぁユニークだ。みごとエクゾディアを振り向かせてみろよぉ…チャンスは一回だけどな!
 エターナルエヴォリューションバースト!」
「リバースカードオープン!ホーリーライフバリアー!手札のヴォルカニックバレットを捨て、ダメージ無効!」
「ターンエンド。さぁ、引き当てて見せろよ!」
「僕のターン・ドロー!」
楽しそうに、狂ったように笑いあう2人。
…どうやら、引き当てられなかったようだ。
「…どうやらまだご機嫌斜めみたいだ。天よりの宝札発動。僕は2枚、君は4枚ドロー。
 魔法カード、魔法石の採掘を発動。手札2枚をコストに強欲な壺回収。
 さらに発動、ドロー。手札からサンダードラゴンを捨て、デッキの同名カード2枚を手札に。
 さらに2枚目の手札断殺。サンダードラゴンを捨てて2枚ドロー。…同じく2枚目の貪欲な壺を発動するよ。
 サンダードラゴン3体、封印されしものの右腕、ヴォルカニックバレットを戻して2枚ドロー。
 …カードとモンスターををセットしてターンエンド。ふぅ…困ったものです」
「やれやれ、姫は理想郷に引きこもりですか?俺のターン、ドロー」
(ここにきてまだ回りやがる…それで引けないってんだから嫌われてんなぁ…)
(…理想郷…アルカディア…?エクゾディアとの洒落かぁ。でもエクゾディアそのものが姫なんじゃ…)
互いになんだか和やかな考え事。気の合う2人ですね。
「…サイバーエンドで攻撃、」
「リバースカードオープン。強制脱出装置」
「え、マジ?」
「マジ。でないと僕負けるし」
「む、なら融合解除だ」
「OK、サイバードラゴン3体が特殊召喚されて効果処理終了、バトルフェイズ続行」
「まぁ攻撃だろ、常識的に考えて」
D−HEROディフェンドガイ。守備力2700」
「反射ダメージ600。のこり1150。ならリバースカードを2枚セットしてターンエンド」
なにやら和やかに進んでおります。
先ほどまでの雰囲気はどこへやら。
「僕のターン、ドロー」
と思ったら急に空気が変わった。
「「………」」
互いに言いたいことはわかってるらしい。
というより同じらしい。
ニヤリと笑って。
「「…次のターンが勝負の分かれ目だ」」